魅惑な彼の策略にはまりました
昔はあったはずの魅力に頼ってみても、誰も褒めてくれなくなって、簡単に釣られてくれる男もいなくて。
痛い経験ばっかり増えて、どんどん臆病になっていく。

いくつになっても魅力的な女なんて、メディアが作り出した幻影。
もしくは、ごく一部の神話でしかない。

みんな相応の変化を受け入れなきゃ、この前の私みたいに無理丸出しの痛いオバサンになってしまうんだ。

私を選びなさいよ。今はもう、そんなことも言えない。
だれか、私を愛してください。
そんな受け身な気持ちを隠して、上っ面だけ自立した女を装って……バカみたい。

恋愛なんて、もうできない。そうに決まってる。
忘れちゃったよ、恋する気持ちなんて。どこにしまいこんだのかすら思い出せない。


「俺も努力はしてないよ」


さらりと言う宗十郎は、私とは対極にいるように見えた。無理して同調してくれなくていいのに。


「あんたはいいでしょ？宗十郎は誰かと恋愛して結婚する気なんかないんだから」


「決めつけるな。俺だって、人並に考えてる」


宗十郎はそんなことを言うけれど、言葉に真実味がない。
< 22 / 111 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop