魅惑な彼の策略にはまりました
向かいのデスクには館内ポップを作っている育江。
黙っていれば真面目に見える27歳のメガネ美人は、パソコンから顔を上げずに言う。
「四季さん、今日、二上さん来るんですよね」
心なしかウキウキとした声音だ。育江は宗十郎のファンである。
「ええ、これからAスタで。モデルのアネラの撮影についてくるわよ」
「アネラってメイクは二上さん指名でしょう?付き合ってるんですかね。美男美女で似合うけど」
「知らない」
「四季さーん、二上さんと仲いいじゃないですかー!そういう話にならないんですかー!?」
ならないわけじゃない。私やリリが聞けば、宗十郎は誰と寝ているかくらいは教えてくれるだろう。
実際、若い頃は「あんた、あの子ともしたの?」なんて呆れ混じりで笑っていたけれど。さすがに三人とも30代。そんな浮ついた宗十郎遊びトークで盛り上がれない。
でも、育江は宗十郎の話で盛り上がりたいみたいだ。
「二上さんてー、もともとテレビ藤でメイクしてたんですよね。ニューヨークの有名メイクアップアーティストに才能を認められて弟子入りして~。今や押しも押されぬ国内トップアーティストじゃないですか!」
「だから、何よ」
「四季さんと親友なのはなんでかなぁーって」
黙っていれば真面目に見える27歳のメガネ美人は、パソコンから顔を上げずに言う。
「四季さん、今日、二上さん来るんですよね」
心なしかウキウキとした声音だ。育江は宗十郎のファンである。
「ええ、これからAスタで。モデルのアネラの撮影についてくるわよ」
「アネラってメイクは二上さん指名でしょう?付き合ってるんですかね。美男美女で似合うけど」
「知らない」
「四季さーん、二上さんと仲いいじゃないですかー!そういう話にならないんですかー!?」
ならないわけじゃない。私やリリが聞けば、宗十郎は誰と寝ているかくらいは教えてくれるだろう。
実際、若い頃は「あんた、あの子ともしたの?」なんて呆れ混じりで笑っていたけれど。さすがに三人とも30代。そんな浮ついた宗十郎遊びトークで盛り上がれない。
でも、育江は宗十郎の話で盛り上がりたいみたいだ。
「二上さんてー、もともとテレビ藤でメイクしてたんですよね。ニューヨークの有名メイクアップアーティストに才能を認められて弟子入りして~。今や押しも押されぬ国内トップアーティストじゃないですか!」
「だから、何よ」
「四季さんと親友なのはなんでかなぁーって」