魅惑な彼の策略にはまりました
社会人になってからは、忙しさもあって、都合が合う人、私を女として底上げしてくれる人を選んで、合理的に付き合ってきた。
今にして思えば、贅沢……というか飽食すぎてクズのレベル。

ともかくです!
つまり元・肉食女はアプローチされなれてないのです。

そこに、女を落とし続けて32年の二上宗十郎のテクニックを駆使されたら……そりゃ、私だって赤くもなる。

宗十郎がどうこうじゃない。免疫の問題だ。
うん、それなら仕方がない。

とりあえず納得できたので、私は目元を抑えて椅子に寄りかかった。
休憩だ、休憩。
余計なことに頭を使いすぎた。


「四季さーん、Aスタ撮影班お越しでーす!」


留美子の声だ。予約時刻まであと30分はあったはずだけど。


「何よ、早いじゃない」


顔を上げると、私の真横には宗十郎が突っ立っていた。

たった今まで考えていた人物の登場に、わかりやすくぎくっと肩を揺らしてしまう。
ちょっと、ここスタッフルームですけど。なんでそんなに当たり前みたいにいるのよ。
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