魅惑な彼の策略にはまりました
「少しは動悸がしただろ」


「色々と別な意味でね」


私はまだ近くにある宗十郎の身体を押しのけ、鏡台から降りる。
とにかく、今は離れたい。距離を置きたい。


「俺が他の女とひっついてたら、今のことを思い出してみろよ」


「はぁ?」


「『アイツ、私とあんなことしたくせに!』って気分になれるから」


とんでもない理論だ。私は呆れて口もきけず、ただ、宗十郎にあっち行けとばかりに手を振る。
いや、私がここから出て行けばいいのか。


「ちなみに、アネラとは寝てないから」


宗十郎が私の背中に言う。聞いてません、そんなこと。てっきり何度かした後かと思ったけど。予想と違ったねってだけ。


「あいつの言ういつもの店は、一回無理やり連れて行かれたバー。今夜もバックレる予定」


「説明不要。私、仕事に戻るから」


「あと、アネラの本名知ってる?俊子(としこ)って言うんだけど」


思わず、振り向く。
なんか、ものすごい情報キタけど。
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