魅惑な彼の策略にはまりました
④キスインザダーク



「勘弁してほしい!!」


いつもの居酒屋“招き猫”。
目の前にはリリ。そして叫ぶは私。

この前のことはさっぱりと水に流したかのようなリリが笑った。


「何よ、面白いことやってるそうじゃない」


「宗十郎から聞いたの!?」


私は向かいに座るリリに向かって身を乗り出す。リリがうんうんと頷いた。


「一昨日、ここで飲んで聞いた。『四季と恋愛してみる』って」


「あいつ意味不明すぎると思わない?」


私は頭を抱え、呻いた。

宗十郎の恋愛指南開始より、一週間が経った。
たったこの一週間で宗十郎は三回も私の職場を訪れ、そのたびに何がしかのちょっかいを出してきたのだ。
さすがにキスマークは最初だけだったけれど。誰も見ていないところで耳にキスしされたのが一回、育江と留美子のいるスタッフルームの入り口で一瞬ハグされたのが一回。
結構な“ちょっかい”だ。

最初につけられたキスマークはようやく消えたけれど、この一週間、襟周りを気にしまくった私としてはおおいに文句を言いたいところ。


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