魅惑な彼の策略にはまりました
ぶん殴ってやろうかしら。

やめとこう、二日酔いから回復するまでは。
っていうか、どういうつもりでそういうことを言うんだろう。


「用事はそれだけ?なら、もう行きなよ」


私が厄介払いでもするように、手首のスナップを効かせ追い立てる仕草をすると、宗十郎が言った。


「四季、会社で絡むのはやめてやるよ。責任者の立場で男とイチャついてらんないもんな」


なぜに上から目線?
宗十郎はまだ眠たげな表情を、ゆるゆると笑顔に変えた。


「つうことで、今度デートでもしてみよう」


「は?」


「来週の月曜か、金曜。どっちかあけて」


ちょうど、月曜は代休だけど……。口ごもっていると、宗十郎はあっさりと踵を返す。


「また連絡する。初デートっていうムードの演出ヨロシク」


無表情過ぎて、まったく真剣味がない。

ともかく、宗十郎はこの恋指南をやめる気はないようだ。

私は宗十郎が出て行ったドアを見つめ、痛む頭を押さえた。




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