魅惑な彼の策略にはまりました
⑥指南書はもういらない
1ヶ月くらいはあっという間に経つもので、4月がやってきていた。
私は仕事に追われるいつも通りの日々を送りながら、一度だけ婚活パーティーに参加してみた。
都内のホテルで平日夜に開催された会は想像していたより和やかで、しかしラグジュアリーな空間。
初参戦の私でも気詰まりに感じることはなかった。
30代40代限定で、男女ともに年収に一定の基準があったのも一因かもしれない。
ある程度似た価値観の人間が集まるわけだから。
仕事をしている同士の大人の出会いというのはちょうどいい。
出会った人たちとはその後、何度かメールのやりとりをした。
しかし、それだけだった。
どう考えても、これ以上進展しないなという、どん詰まり感はある。
私も男性たちもバカではないので、こうしたやりとりはいつか自然に消えるだろう。
つまりは、『ちっともときめかない相手とは、時間を共有できない』のだ。
見限るのは早いほうがいいって、大人は知っている。
しかして、それは私にとっても、今更気づいた重要な真実だった。