クレーマー
涙１つであたしの事を信じ込んでしまった花梨。


少し申し訳ない気分にはなるけれど、男子に人気のある花梨に味方になってもらっておいた方が後々楽なのだ。


明彦だってあたしと別れたことを納得はしていないだろう。


もし男子生徒の間であたしはひどい女だと噂が流れたりした時でも、花梨がいればその噂はすぐに消える。


「あ、コンビニ見えたよ」


花梨が話題を変えるために元気にそう言った。


オープニングの花はすでに撤去され、車の台数も随分と落ち着いているあのコンビニが視界に入る。


ここに来るのは数日ぶりだったけれど、その間に色々な事があったせいで久しぶりに感じられた。


中に入ると数人の店員の声が聞こえて来る。


オープニングからの張り切りが仇となり、少し元気が落ちているように感じられた。


「あれ？　前にこの時間にいた人がいないね」


カウンター内を見て花梨がそう言った。


「誰の事？」


「女の店員さんの事」


そう言われて、あたしは目玉のとれたヒヨコケーキを思い出していた。
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