クレーマー
電話
数十分後、あたしはスッキリとした気分で美容院から出てきていた。


1000円は返金してもらい、おまけにお詫びのお菓子までもらってしまった。


学校帰りに美容院に寄ったので学校はバレてしまっているけれど、新しい店舗のためこの地域には疎いハズだ。


常習的なクレーマーがいると言う事も、おそらくまだ耳には入っていないだろう。


怒鳴ると同時に自分の中の苛立ちや不安はどんどん消えていき、前向きな気分になれる。


誰かが少し我慢をするだけでこんなにも世界は変化するのだ。


だからこそ、クレーマーはやめられない。


自分の世界を素敵にするためにも、やめられない。


家の前まで戻ってくると、バッグの中でスマホが鳴っている事に気が付いた。


画面を確認してみるとこの美からの着信で、あたしは足を止めてその画面をマジマジと見つめた。


そう言えばこの美は今日も学校を休んでいたっけ。


それにしたって、あたしに用事なんてないはずだ。
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