クレーマー
驚いて当然だろう。


好きだと言いながら、女の子と遊ぶことを承認しているのだから。


「あたしはこの美とは違う京一郎が好きなの」


そう言うと、京一郎はなにか考えるように空を見上げた。


「友達相手にセックスしたらすぐ調子にのって彼女面するけど、彼女相手ならそれも別に問題ないもんなぁ」


「え?」


「付き合い始めた当然するだろ? セックス」


そう聞かれてあたしは一瞬言葉に詰まってしまった。


正直あたしにその経験はない。


明彦と付き合っていてもキス止まりで、そういう雰囲気になっても結局なにもなかったのだ。


「京一郎のノートを見せてくれるなら、してあげる」


「あぁ、ノートか! そうか、平仲さんは俺のノートに恋してるのか」


京一郎はようやく納得したように何度も頷いた。


「でも、『この美とは違う京一郎が好き』って言ったじゃないか。俺はこの美はノート目当てで付き合っているんだって言ったはずだけど?」
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