クレーマー
罵声
京一郎と付き合う事になったあたしだが、お互いに恋愛感情はなかった。


そのためあたしと京一郎はお互いの気持ちだけを確認しあうと、別々の道を歩いて帰っていた。


京一郎にとっては遊べる女がいればそれでいいのだ。


この美に次に偶然目についたのがあたしだったというだけで、次にいつ心変わりをするかわからなかった。


でも、大丈夫。


あたしは鞄の中に入っている京一郎のノートを思い出してほほ笑んだ。


別れ際にさっそく貸してもらったのだ。


今日コンビニでこれをコピーしておけば、京一郎がいつあたしから離れて行っても勉強だけはできる。


あたしは鼻歌を歌いながらコンビニに入り、さっそくそのノートをコピーし始めた。


高校に入学してすぐに書き始めているノートらしく、基礎から応用までわかりやすくまとめられている。


「さすが京一郎」


印刷されて出て来るノートを見て、あたしは思わず呟いた。


色んな科目の重要な部分だけど抜粋して書かれている。


そのどれもがテストで出題されていた問題と同じものだった。
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