クレーマー
☆☆☆

ご飯を食べ終えたあたしは真っ直ぐ自分の部屋へと向かった。


鞄の中からワンピースを取り出し、ハンガーにかける。


ワンピースは明日も持って行こう。


なにがあるかわからないし。


そう思い、鼻歌を歌いながら机に向かう。


あたしが初めてクレームを入れたのは受験勉強をしている時だった。


どうしてもわからない問題があり、何度も同じ問題で躓いてしまっていた時。


むしゃくしゃしながら夜のコンビニに夜食を買いに行くと、その時の店員がお釣りを間違えて渡してきたのだ。


家に帰ってからその事に気が付いたあたしは、頭の中でなにかが音を立てて切れるのを聞いていた。


お釣りを間違えるくらい、きっと誰にでもあるミスだ。


頭では理解しているのに、その日はどうしても許す事ができなかった。


早く勉強を再開すればいいのに、そんな事も考えずに再びコンビニへ向かった。


同じ店員がまだレジにいる事を確認して、大股でコンビニに入る。


そして、今日と同じように怒鳴り散らしたのだ。


たった10円少なかっただけなのに、どうしてあたしはこんなに怒っているんだろう?
< 16 / 187 >

この作品をシェア

pagetop