クレーマー
あたしにとってクレームは、自分が生きていくために必ず必要なものになっていたのだ。


もちろん、こんな事をしているなんて誰にも言えない。


明彦にも花梨にも、両親にだって秘密にしている。


だから、私服を持ち歩き学校名がばれないようにしているのだ。


今日だって、この美の事なんてすっかりどうでもよくなり、明日のテストに向けて集中した勉強ができていた。


「できた!」


過去問題をすべて解き終えて、採点を始める。


明日は苦手な英語のテストだけれど80点は取れる予定だ。


これなら5科目合計で学年トップを目指せるかもしれない。


廊下に自分の名前が張り出されている光景を思い浮かべると、自然と頬が緩んだ。


誰に何を言われたわけでもないのに、これだけ勉強して、結果としてもちゃんと点数に現れる。


それが、あたしの自慢だった。
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