クレーマー
そんな……!!


目の前が涙で滲んだ。


この美は京一郎のノートなんてどうでもよかったんだ。


一刻も早く別れたかったんだろう。


だから京一郎の気持ちが薄れて来たタイミングで、すぐに明彦へ乗り換えたんだ……!!


あたしは学校で見たこの美の申し訳なさそうな表情を思い出していた。


あの顔は、あたしに本当の事を言えなかったからだったんだ……。


絶望のどん底へ突き落されたその時だった、リビングのドアが開き、全員がそちらへ視線を向けた。


あたしは入口に立っている人物に目を丸くした。


「知世……」


花梨……なんで花梨がここに?


「花梨!」


そう言ったのは、あの髪の長い女だった。


女が花梨へ駆け寄る。


2人が並んでいる所を見ると、その顔がよく似ている事に気が付いた。


「お姉ちゃん……」


あの女が、花梨のお姉ちゃん!?


「花梨、どうしてここに?」


「ごめんお姉ちゃん、最近お姉ちゃんの様子がおかしいから、パソコンのメールを確認したの。そしたら、今日ここで何が起こるか全部書いてあったから……」


花梨はそう言い、唇をかみしめた。
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