クレーマー
怒った顔
あたしと花梨はそのままコンビニへと足を向けた。


あたしがクレームを入れたあの新しいコンビニだ。


オープンして最初の土日と言う事で、コンビニの駐車場は満車だった。


「テストが終わったらこのコンビニに来ようって思ってたんだぁ」


花梨がそう言い、飾られている花を見てほほ笑む。


「テスト期間中は一応我慢してたんだ?」


「一応ってなによ。ちゃんと我慢してましたぁ」


あたしの言葉に頬を膨らませる花梨。


その様子にあたしは笑ってしまった。


点数は悪いけれど、花梨は花梨なりに頑張っていたようだ。


2人でコンビニに入ると、見覚えのある店員と目が合った。


あたしがクレームを入れたあの子だ。


しかしあたしの顔は覚えていないのか、少し目が合っただけですぐにそらされた。


入れ代わり立ち代わり入るお客さん1人1人を記憶していくことは難しい。


だからこそクレームを入れやすい部分もあった。


ただ、クレームはやりすぎると顔を覚えられるし、監視カメラにも映像が残っているから要注意だ。


同じ店で同じ人に繰り返しクレームを入れるのはできるだけ避けた方がいい。


その内店内全員にクレーマーの存在が知れ渡り、誰も本気で謝罪などしなくなる。


本部へ直接クレームを入れても、それが店の中で問題視されることもなくなってゆくのだ。
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