クレーマー
ヒヨコケーキを一つもってレジへ向かう花梨。


あたしはジュースを一本手に、花梨の後ろへと並んだ。


レジを売っているのは偶然にもあの女の子で、あたしは彼女のネームを確認した。


三村（ﾐﾑﾗ）とルビ付きで書かれている。


三村は少し慣れてきた手つきで花梨のレジをする。


しかし、袋のサイズが少し大きかったようで、花梨が持ち上げた時にヒヨコケーキが横倒しになるのが見えた。


「あ、申し訳ありません。袋を入れ替えさせていただけますか？」


三村は慌ててもうワンサイズ小さい袋を取り出して、ヒヨコケーキを入れ替えた。


しかしヒヨコケーキは倒れた衝撃でチョコレートの目が外れてしまっている。


三村はそれに気が付かない。


「わざわざありがとう」


ニコッとほほ笑んでお礼を言う花梨。


あたしは何も言わず、自分のレジを終わらせたのだった。
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