クレーマー
笑顔
動物園だろうが、コンビニだろうが。


あたしはお客様だ。


相手は店員で、お金をもらって働いている。


そんな場面でお客様であるあたしが我慢することは、やっぱり間違えている。


そう思ったのは、動物園の中を一周した時だった。


太陽は傾きはじめ、園内の客数も次第に少なくなってきている。


「お土産物屋でも見て見ようか」


そういう明彦の後ろを付いて歩くあたし。


色んな動物を見てみたけれど、あたしの中には列に割り込みをしてきた男性の顔が浮かんできていた。


そして割り込みに気が付かなかった店員の顔も。


「あたしトイレに行ってくるから、先に見ててくれる?」


「そうか? じゃぁ、この店の中で待ってるから」


「うん」


あたしは明彦にそう言い、足早にその場を後にしたのだった。
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