クレーマー
ライバル
気分よく自分の机に戻ってきたあたしは、泣きそうな顔をしている花梨と目が合った。


どうやら点数がすごく悪かったようだ。


あたしは口パクで「大丈夫だよ」と花梨に伝える。


本当に大丈夫かどうかなんてわからないけれど、テストは明日もある。


これから猛勉強をしてリベンジを狙うしかない。


花梨は泣きそうな顔のまま、うつむいてしまった。


「それじゃ、これから解答にうつるぞー」


先生がそう言い、黒板へ向かう。


あたしは赤ペンを持ってテスト用紙を広げた。


ほとんど直すところなんてないけれど、今度のテストで満点を取れるようにしなくちゃ。


そう思い、気を入れ直す。


その時だった。


同じように机にテスト用紙を広げているこの美が目の端にうつった。


自分の点数に満足しているあたしは、この美の点数を見るつもりじゃなかった。


ただ、その点数が目の端に入って来ただけだった。


98点。


その点数に、一瞬時間が停止した。


あたしよりも、京一郎よりもいい点数。


だけどたった一問ミスをして2点減点された点数。
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