クレーマー
用事がないから早く解放される。


そう思っているのが表情にそのまま出ている。


しかし、そう簡単に開放するわけがなかった。


ストレス発散のために果歩を呼んだのだから、それなりにイジメてやらないといけない。


「とりあえずさ、そこで四つん這いになってよ」


「え……?」


あたしの言葉に果歩が困惑表情を浮かべる。


「子供の頃お馬さんごっこしたでしょ? あれ、やろうよ」


ニコッとほほ笑むあたし。


しかし果歩は見る見るうちに青ざめて行った。


ここは屋上で、地面はコンクリートだ。


こんな所で四つん這いになれば手足はすりむけてしまうだろう。


「ほら、早く」


あたしが果歩のわき腹をつつくように蹴ると、果歩はビクンッと体を跳ねさせて四つん這いになった。
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