わたしの朝
記憶のシャッター
写真を撮った。
たくさんたくさん写真撮ろうねって言ったから。
水族館、美術館、牧場、自然公園、お花見、夏祭り、紅葉、イルミネーション、成人式…。
高校最後の体育祭から始まった2人のアルバムはもう5冊目に達していた。
結婚したら、同じアルバムが2つずつできちゃうね。
そう言って笑った。
料理を作った。
通称「花嫁修業」。
古すぎる言い回しだ。
だめだ。
なにをしてもだめだ。
写真を撮っても、どこかへ出かけても、花嫁修業をしても、散々ニヤケて笑い倒した後、あとどれくらい…を考えて視界が歪んだ。
余命宣告を受けようが受けまいが、今日生きられる確率と、明日死ぬかもしれない確率は、みんな平等なはずなのに。
誰かが言っていた。
明日死んでもいいように生きなさい。
まだまだずっと生きるつもりで生きなさい。
って。
彼が、なにかを感じとったかのようにグミを口に入れてくれる。
少ししょっぱい。
でも甘酸っぱい、恋の味がした。
今を生きるんだ、私。
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