野良猫は膝の上で眠る

すずside

「ん……足音、する。」

誰かの足音で目が覚める。

でもきっとはる。

出ていったときと同じだから。
でも、急いだような足音。

耳がいいからよく分かる。

「はる…。」

早く会いたくて少しましになった足で玄関へ歩き出す。

ガチャ

「はる!」

思わず飛びついてしまった。

「わっ。すず?いい子にしてた?」

受け止めてくれるはるの腕
はるの匂い、はるの声、寂しかった…。
何時間か会わないだけでこんなに。

「してたよ……。」

寂しかったなんて言えないけどその変わりはるをめいっぱい抱きしめる。

「とりあえず部屋いこっか。」

コクン

はるは荷物を玄関に下ろして私を抱っこするとスタスタ歩き出す。

その間ずっとはるの首に手をまわして肩に顔を埋めていた。


< 14 / 74 >

この作品をシェア

pagetop