野良猫は膝の上で眠る
決別
あれから何日かタイミングを逃してやっとその時が来た。
はるが星叶の集まりで仕方なく私はお留守番。
そこで私は今、はるのいるあのマンションをこっそり抜け出していた。
もちろん置き手紙も置いて。
"まっててください
ずす"
これではるが納得するかは別として、何も書かないよりはマシだと思ったのだ。
久々に夜の街を歩くせいで目が余り慣れない。
あの人の家、ちゃんと覚えてるのかな、私。
そう思いながらも体は慣れたように進んで行く。
本当はお別れなんてしなくても、あの人は私のことなんか微塵も気にしていないだろう。
でも、どうしても、お礼が言いたかった。
両親に捨てられた私を救ってくれたこと、
そして住む家をくれたこと。