野良猫は膝の上で眠る
そんなことを思いながら歩いて行くと、クロの所有するビルにつく。
外観は仄暗い感じがする。
けど中に入ってみると案外綺麗にされていて、その暗さは変わらないもののクロって感じがした。
「あ…の、真斗さん」
エレベーター横の黒い椅子に座り俯いて寝ている様子の真斗さん。
一応このビルの門番みたいな役割の人。
「おーい?真斗さ、」
少し肩を叩くとその腕を勢いよく掴まれる。
「す…ず?」
私のことをその目に入れると、いつも気だるそうだった真斗さんに思い切り抱きしめられた。
ちょっと予想外。