野良猫は膝の上で眠る
思った通り腕をつかまれた。
どうにか手を解こうと試みてもその前に立ち上がったクロの腕の中にぽすりと引き戻される。
「や、だ…」
「鈴?」
そう言った瞬間に膝の力が抜けてしまう。
さっきから体が熱くてぼーっとする。
「…熱い。おい、氷枕持って来い!」
そう外に呼びかける声が聞こえた。
「鈴?大丈夫?いつからなの?」
「はなし…て、よ」
うーっと精一杯の力をこめてもうんともすんとも言わない。