野良猫は膝の上で眠る
鈴side
「クロ…エ…」
目には薄らと涙が浮かんで弱々しい声が出る。
怖くて、恐ろしい夢をみた。
「大丈夫だよ」
そう言いながら抱きしめてくれるクロエの温もりに強ばった身体から力が抜けて行く。
私も堪らず腕を伸ばしクロに抱きついた。
「怖い夢でも見た?」
「…ん」
怖い夢をみた。それは覚えているのにどんな夢だったかは思い出せない。
「熱があがってるね」
私の首に手をあてながら顔を顰めた。
側から体温計をとり私に渡す。
私は素直に受け取り熱を測った。