【眠らない森】短編
次の夜、早速、私は羊を数えそして、一匹二匹と順に殺していったわ。


年老いた羊は満足げに笑っていた。


ーーーそれでいいんだよ


そう言いながら。


けれど、思いの外、すぐに飽きたわ。


頭の中で羊を殺すのは容易いことですもの。


ーーーこれではちっとも眠れやしない


頭の中で順に殺していった羊の残骸を見ながらそう呟いたの。


ーーーならば本当に殺してしまえばいいさ


年老いた羊はさも正しい事を言ってるように私に言ったの。


ーーーそんな事、許されるとでも思って?


私は既にあたまの中でどの様にすればそれを実現出来るかを考え始めながら口ではそう言ったの。


ーーーああ、許されないだろうね。ならば君はこれからも眠れぬ夜を過ごすが良いさ。退屈な夜を抱え年老いていけばいい。この私の様にな。


年老いた羊はとっても静かにそう言ったの。






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