人魚姫と幼なじみ。
幸せそうに、笑うアイツ
俺が死ぬなんて、知らないのだから当然だ
俺の心は、もう決まっていた
アイツが幸せになれるのなら、俺は、この命を捧げる
壁にもたれかかり、俺は、目にアイツを焼き付けていた
せめて、死ぬ瞬間まで、アイツを見ていたい
王子とアイツが唇を重ねたとき
俺の指先が、透けてきた
もう、死ぬんだ。
指先が消えていく
指が、腕が。
そこまで見ると、俺は、アイツに目を戻した
相変わらず幸せそうに、笑うアイツ
憎たらしいなぁ・・・・
視界までもが、薄れていく
さんざん、俺にノロケて、相談事をもちかけて・・・
ちゃんと、幸せを掴んだんだな
オマエ、不幸になったら許さねぇからな
「幸せに、なれよ」
そして、意識が途絶えた
きっと声は、最期までアイツには届かなかった