御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「す・・・鈴城・・・君」

自慢じゃないが私、心の中では鈴城君がめちゃくちゃ好きだけど

1対1でしゃべったことは初めてといってもいいくらいで・・・

もちろんこうやって名前を呼ばれたのも初めてだし

私が彼の名前を本人に向かっていう事も初めてだ。

会社で会っても軽く会釈かすれ違いざまに挨拶する程度だった。


っていうかなんで私の名前を知っているの?

しかも夜道だよ。

相当顔見知りじゃなきゃ普通声かけないでしょ。


名前を呼ばれたことよりもそのことの方が驚きだった。

鈴城君はにこりと笑いながら私との距離を縮めてきた。

もう心臓が飛び出そうだった。

「ちょっと折り入って話があるんだけど・・・・・時間ある?」

「えええ?!」

私何か悪いことした?思わずキョロキョロしてしまった。

完全に挙動不審だ。

「そんなに驚かなくてもいいよ。ただここで話すような内容じゃないからさ・・・
ダメかな?」

うわっ!イケメンが私だけに向けた笑顔の破壊力半端ないよ~~

しかも私に折り入って話って?ここで話す内容じゃないってなになに?

でもここで断ったら人としてどうよ。

きっと私にしかできない仕事上の相談なのかもしれない。

私はキョロキョロと周りに友香と直美がいない事を確認した。

だってさっきまで鈴城君の悪口言ってたんだもんな(本心じゃないけど)


「わ・・わかりました」と返事をすると

とびっきりの笑顔を私に向け

「じゃ~ちょっとついてきて」と言い私の一歩先を歩きだした。

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