御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
『もしもし?のあ?』

「は・・・はい」

あ~~なんで私はこんなときに限って言葉がうまく出てこないのよ。

折角電話してくれたのにこれ以上嫌われたくないのに・・・

『元気そうな声が聞けて安心した』

「・・・うん」

何この甘い言葉は・・・こんな会話、演技以外では

初めてじゃん。

『それでさ、帰りが早まって土曜日の午前中に東京に着くんだ』

「ほ・・本当?」

しまった!嬉しくて思わず語尾が上がってしまった。

言い直そうと思ったが鈴城君は話を続ける。

『もし予定がなかったら、のあの作ったご飯が食べたいんだ。
作ってくれる?日本食が・・・恋しい』

そんなのお安いご用よ!と言える余裕などなかった。

だって私の料理が食べたいとか恋しいとか

めちゃくちゃ糖度高いんですけど!・・・日本食だけどね・・・

っていうか、鈴城君は前までの鈴城君とは明らかに違っていた。

何かあったの?

やっぱり外国にいると人は気持ちが大きくなって大胆になるのかな?

それで帰ってきたら元の意地悪な鈴城君に戻ってしまうのかな?

でも今はいいや。

やっぱり私は早く鈴城君に会いたい。
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