御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「いいよ」

「は?」

鈴城君は眉間にしわを寄せる。

「だって・・・やさしい鈴城君とか想像出来ないもん」

私は布団を目のすぐしたまで引き上げる

「・・・・病人には優しいの」

吐き捨てるように言うと鈴城君は私に背を向けるようにベッドの脇にもたれかかる。

・・・・まさかずっとここにいるつもり?

これじゃあ緊張して逆に眠れない。

「それでもここで眠っちゃったりしたらそれこそ鈴城君が体調崩しちゃうよ。
私はほんとに眠ればよくなるはずだから?ね?」

もちろん、鈴城君の事は心配だけどそれ以上に自分がこの状況に耐えれる自信がない。

あたしは背を向けている鈴城君に訴えた。

すると鈴城君は私の方を向き、寝ている私を見つめ

「・・・・・わかった」と快諾してくれた。

よかった。

そりゃ~本当は一緒にいたいよ。

凄く嬉しいけど鈴城君は私の事好きじゃない。

私への情で看病してくれてるだけ。

近い将来別れる私にはこんな夢みたいな事は本当に夢の中だけでいい。

・・・・・・と思っていたときだった。
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