御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「嘘?」

「奥さんには愛情はないから別れるってずっと言ってたのにさ・・・
結局やることやってんじゃん」

吐き捨てる直美の言葉に私はなんと声をかけてあげればいいのか

わからなかった。

「・・・これからどうするの?」

「・・・・・わからない。わたし・・・どうしたらいい?ねぇ・・のあ?」

直美は今にも泣き出しそうに目を潤ませ歯を食いしばる。

その姿が痛々しくて私は直美の背中をさすってあげることしか出来なかった。


とりあえず私は友香にも連絡を入れ、仕事が終わったら

3人で会うことにした。

もちろん鈴城君にも飲みに行くことをメールしてね。


***********************

仕事が終わると私たちはいつもの居酒屋に集まった。

お疲れ様の乾杯も今日はとても静かだった。

直美は生中を息つぎなしでいっきに飲むとすぐに呼び出しボタンを押す。

「直美~~、空きっ腹にいっきはよくないって」

友香が心配そうに声をかける。

でも直美の耳に友香の言葉は届いていなかった。

私と友香は顔を見合わせため息を吐く。

だが、ただ黙って飲む為だけに集まったわけじゃない。
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