御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「そ・・・そうなんだ」

違うでしょ。

これは鈴城君が願ってたことだったんだから

私はおめでとうって言ってあげなきゃいけないのに

どうして言えないの?

理由はわかってる・・・だって海外赴任が決まったら私たちは別れるんだもん。

私は鈴城君の事が嫌いって事になってるんだから

ここはちゃんと演じなきゃいけないのに

言おうと思っても違うことを言ってしまう。

「いつから行くの?」

「・・・・・1ヶ月後」

ほら!おめでとうって今言わなきゃだめじゃない!

これで鈴城君から解放されるとか、私と別れられるからうれしいでしょ~とか

何か言わなきゃいけないのにどうしても言えない。

しかも悲しみが押し寄せて今にも泣いてしまいそうなぐらい

目頭が熱くなってる。

だめここで泣いたらだめ!

「のあ?」

「・・・・・・海外赴任希望してたんでしょ・・・・よかったじゃない。
だったら・・・・・・私の役目はもう・・・・・・終わり・・かな」

声が震えてすらすらしゃべれない。

それに何なのここはおめでとうでしょ?
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