御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「のあ!あんた一体何考えてんの?」

ベンチに座った途端友香のプチカミナリが落ちた。

「何って・・・何のこと言ってんの?」

求めている言葉が違っていたのだろう

友香が口をあんぐりと開けて私を睨み見る。

「何とぼけたこと言ってんのよ。あんた!なんで旦那について行かないのよ!」

「え?」

どういうこと?

私が驚きながら二人を交互に見る。すると友香の怒った顔から不安な表情へと

変え直美と顔を見合わせた。

「のあ・・・あんたここに残るんだよね?鈴城君と一緒にアメリカに行かないんだよね?」

どういうこと?

もちろん行かないけど、そのことはまだ誰にもいってないし

明日ぐらいに風間課長に返事しようと思っていたところだった。

それをなぜ・・・・まさか・・・・

「それって・・・誰から聞いたの?」

友香は直美に視線を向けると私をみた。

「資材を取りに歩いていたら鈴城君くんと上司の林田部長が真剣な顔で話しててね、
海外赴任の話かな~~って気になって……その~~立ち聞きというか・・・」

「彼なんて言ってた?」

「……『妻を日本に残して俺一人で行きます』って言ってたの。林田部長だって
かなり驚いていたよ。のあたち新婚なのに何か理由があるのかって……」

ああああ~~

言っちゃったんだ。仕方ないと言えば仕方ないよね。

だって嘘じゃないしお互いに聞かれれば答えなきゃいけなかったわけだし…

でも出来れば私の方が先に言いたかったな。
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