御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「……彼、何か言ってた?」

「ううん、何も…でもね、鈴城君、凄く寂しそうな顔してたから…もしかして
のあが拒んだのかなって思った訳よ…鈴城君、本当は一緒について来てほしいんじゃないの
かなって…ねえ~」

友香は直美と顔を見合わせた。

だが私はそれどころじゃない。

どうして寂しそうな顔をするの?

ついて来てほしいなんて……絶対にあり得ない。

海外赴任の打診がある事を教えてもらったときだって鈴城君は寂しそうな顔なんかしていなかった。

『もし、俺が海外赴任になったら……どうする?俺たち元々好き合って結婚したわけじゃないだろ?
嫌いな男との海外赴任なんて普通は嫌だよな』

一緒に行く前提で話なんかしていないし、

一緒に行きたいだなんて言えるわけない。

だったらなんで友香達にもわかるような寂しそうな顔を浮かべたのだろう?

「のあ?」

「あっ…ごめん。断ったのは…彼に、仕事に集中してもらいたかったから。
慣れない土地で彼に私の事で心配を増やせたくなかったの」

いくら親友であっても離婚することはまだ言えない。

私は言葉を選びながら断った理由を述べた。

だけど、2人が納得する理由とは言い難かった。

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