御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「慣れない土地だからこそ一緒にいるべきだと思うよ」

お昼休みが終わる頃直美がボソッと呟いた。

「え？」

一歩前を歩いている直美は立ち止まり振り返った。

「だって好きだから結婚したんでしょ？」

「……うん」

鈴城君はそうじゃなかったけど……

「鈴城君、絶対にのあについてきてほしいと思ってるよ」

「え？」

「だって…ね～～もう言ってもいいよね～～」

友香と直美が確認するように顔を見合わせた。

「何？」

「私と直美が遊びに行った時、一度のあが席を外したことが時があって
その時に鈴城君がのあと結婚できた今が一番幸せだってそりゃ～もう
会社で見せたことのない凄い幸せそうな顔をしていたんだよ。
鈴城君にあんな笑顔をさせるのはのあしかいないんだって」

信じられなかった。

何がって、何もかもよ。

鈴城君が私と結婚して幸せだって？

凄く幸せそうな顔なんて見たことないし

私には鈴城君を笑顔にさせたこともなかった。

どれも信じがたい。


結局この日、仕事に集中出来るわけもなく

何度もため息を押し殺す様にひたすらパソコンに向かい定時が来るのを待った。
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