御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
鈴城君は目の前のウーロン茶のグラスを持つと

「とりあえず乾杯する?」

と超笑顔。だけどこの状態で何に乾杯しろというんだ?

「な・・・なにに?」

「2人の結婚に?」

当たり前だろうと言いたげな目で私を見たが当たり前じゃないから聞いたんですけど!

「私まだ返事もなにも・・・・っていうか本当は私が鈴城君の悪口を言ってたから
困らせたくて嫌がらせしてるんでしょ?」

今更ながら後悔だ。

いくら気持ちを口に出さないにしても

安易に思ってもいない事を口にするのはよくないと身をもって知ったよ。

だが、鈴城君の表情は至って真面目。

「何言っての?冗談でこんな事言えるわけないでしょ?嫌がらせでもない。
俺はあんたと結婚したいの」

なんでわかってくれないの?と言いたげに私の目を見るがそれでも私は信じられないし

納得もできずにいた。

「なんで?」

好きな人にプロポーズされたらうれしいだろうけど

絶対に何か企んでいるに違いない。

鈴城君は一人で乾杯のポーズをとるとウーロン茶を一口飲み

身を乗り出す様に詰め寄ってきた。

「知ってると思うけど昔から俺の周りって何かと騒がしかったんだよね。好きでもなければ
話をしたこともない女や、少し話しただけで何か勘違いしたり・・・俺の事ほとんど
知らないくせに告白して断れば大泣き・・・・だけどここ最近それがさらに悪化してきたんだ。
テレビの影響なんだろうけど他県から手紙が来るんだ。
正直今の仕事が面白くなって俺は仕事に集中したいと思ってるのに
好きだの付き合ってだの、食事に行こうだの…もううんざりなんだよ」

私からしたら勿体ない悩みだ。

贅沢すぎる。

私なんか男性から告白も食事の誘いもないっていうのに・・・・
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