御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「鈴城君、自分で何言ってんのかわかってるの?」

「わかってる」

鈴城君は間髪容れず答えた。

私を見る目は嘘を言っている様には見えない。

だけどどうしてこんな展開になってるの?

まさか私を連れて行かないとまずいことでもあるの?

上の人から何か言われちゃったとか?

大体、鈴城君が私をアメリカに連れて行きたいなんて本心じゃない。

何か理由があるはず。

一人で行くって報告したら却下されたとか?

だからさっき取り上げた仮契約の書類だって

きっと私がついて行かなきゃいけない事に苛立っていたに違いない。

どうしよう・・・・

嫌いな人と海外でも一緒だなんて普通嫌だよね。

私は理由も聞かず勢いよく頭を下げる。

「ごめん」

「何に?」

鈴城君は呆れた様子で私を見下ろしていた。

「何に・・ってそれは・・・」

嫌いな私と一緒にアメリカに行かなきゃならなくなったこと

と言おうとしたら鈴城君が私との距離を縮めてきた。


「俺に嘘ついてたことだろ?」
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