御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
動けない。

衝撃が大きすぎて私は時間が止まったかのように動けなくなる。

鈴城君の事が好きだって誰にも言ってないのに

なんでバレちゃったの?

でも今ならまだ否定できる。

だって今ここで正直に話をしたらきっと私は

嘘つきのサイテーな女の烙印を押されてしまう。

それだけは嫌だ。

私は否定しようと口を開きかけた。

だがその言葉は鈴城君に

「否定しても無駄だよ」と先手を打たれてしまった。


私は何をどう言えばいいのか頭が真っ白で

このまま逃げてしまいたい衝動に駆られ右足を後ろに一歩下げる。

だが鈴城君は逃がすまいと私の腕を掴んだ。

「離して」

「なんで?」

「お願い離して」

「絶対離さない」

元々の距離が近すぎるため

掴んだ腕を軽く引っ張っただけで私は鈴城君の胸に抱かれる。



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