御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「言い寄ってくる女にもうんざりしていたし、結婚したらそう言うのなくなるだろうな
とは前々から思っていたけど・・・・実際に行動に移そうとは思っていなかった。
あの日まではね」

鈴城君は大きく溜息を吐いた。

私は次々と知らされる真実に驚きを隠せず、口をポカンと開けたまま鈴城君の一語一句を

聞き逃すまいと耳だけをダンボにしていた。

「だから・・・俺と結婚してどこまで本音を隠せるのか試してみたくなったんだ」

全てお見通しなんだよと言わんばかりに表情に私は返すことばが見つからない。

「すぐに本音を吐くかと思ってたら何も言わず、バイト代をだすと言ってみれば
反論もしない。挙げ句の果てには離婚後の話まで出してきて・・・・話をしている内に
だんだんムカついて、絶対にのあの口から本音が出るようにしてやるって」

私のやっていたことが全て裏目に出ていたって事?

私が素直に好きだと言えば何かが変わっていたって事?

じゃあ・・・今までの結婚生活は何だったの?

私は一緒にいれて嬉しかったけどそれと同じくらい苦しかった。

それも私が偽った気持ちを口に出したバツだというの?

もう頭の中は整理つかない思いにパニック寸前だ。

「じゃあ・・・いろんなルールがあったのは・・・」

絞り出すように言葉をハッすると鈴城君は椅子から立ち上がる腰に手を当て

完全に仁王立ちで私を見下ろす

「厳しいルールを与えれば自分の気持ちを抑えられなくなってすぐに根を上げると
思ったんだ。だけど・・・俺がどんだけ告白のチャンスを与えても絶対に言わなかったよな」

怒ってるよ怒ってる

顔完全に怒ってる。

でもさ・・・

「チャンス?」

私の間抜けた問いかけに腰に手を当てていた手を下ろし、呆れた顔で私を見る。

「やっぱりな~~だからこんなぎりぎりになって俺が白状しなきゃならなくなったんだよな~」
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