御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
私がソファーに座ると鈴城君は「ちょっと待ってて」といって立ち上がり

自分のバッグの中から何を取りだした。

そしてテレビの前まで移動するとDVDプレイヤーにDVDをセットすると

私と密着するように隣に座った。

ち、近い。

さっきはお互いに椅子に座っていたから距離感があったけど

今は隔てるものがない。

結婚半年で、この密着度にドキドキするなんて他人が見たらどん引きそうだけど

私たちは全てが逆なんだから・・・・

そしてテーブルの上のリモコンを取ると新作情報を早送りし、タイミングの

いいところで再生に戻る。

しかし、言ってないことが二つあるって言っておきながら

DVD観るかな?

「ねえ・・・・さっきの話の続きが・・・・」

鈴城君はにこりと微笑みながらテレビの画面を指さした。

私は視線をテレビに戻した。

テレビに映った映像は見覚えのある映画のタイトルだった。

「これ・・・・」

その映画は昔、私が高校生の時に観た映画「ラストムーン」だった。

初めて男の子と観た映画だったけど、デートではない。

友達の代役だった。

だから相手の男の子は相手が私だとわかったときかなり落胆したし

話をすることもなかった。

という残念な思い出だったけど映画自体はとても感動して泣いたのを憶えている。

ちょっと前に鈴城君とこの映画のリメイク版を観たけど

その時も感動して泣いちゃったんだよね。

たしか鈴城君も高校生の時観たってったけど・・・・

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