御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
鈴城君はキッチンに入ると鼻歌を歌いながら冷蔵庫の中を物色した。

「凄く楽しそう」

後ろ姿の鈴城君に向かって小さく呟くと鈴城君が振り返る。

「うん、楽しいよ。だってこの先もずっとのあと一緒にいられるんだからね」

きゅ~~~~っとメーターが上がるように私の顔が真っ赤になる。

結婚を申し込まれたときのあの冷たく人を見下すような鈴城君から

こんな甘い笑顔と言葉をあの時想像出来ただろうか。

でもきっと今のが素の鈴城君なのだろう。

そしてその素顔は今私だけが独占出来る。

そう思うとまたもやドキドキのメーターが振り切れるほど真っ赤になる。

「そんなところで突っ立ってないで、ほらのあの場所はここ、こっちにおいで」

あ~私の当分の課題はこの甘い言葉に慣れることかもしれない

鈴城君の隣に立ってまな板の上の食材を見る。



「もしかして・・・オムライス?」

「そう~。俺特製のオムライス。そんでもって・・・ケチャップでー」

「ああああもうういい!」

私は咄嗟に鈴城君の口を手でふさぐ。

だって彼が何を言おうとしたかなんとかなくわかったから。

だけど鈴城君は口に当てた私の手を掴んで下ろす。

ニヤリと笑うその余裕の笑みが逆に怖い。

「じゃあ・・・書くのやめて・・・・態度で示すよ」

「え?」
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