御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
今思い出してもあの心の葛藤はもう２度と味わいたくない。

「じゃあ・・・海外赴任が決まった時って本当はどん底だった？」

恐る恐る聞く直美に頷くと、手を合わせてごめんと頭を下げた。

「直美謝らないで。本当の事を言わなかった私が悪いし、あの時の
直美の言ったことは間違ってない」

私が素直でいればこんなことでややこしいことになどならなかったんだもん。

「でもさ・・・ちゃんと鈴城君に本当の気持ちを伝えたんだよね」

直美が確かめるように尋ねる。

「うん。海外赴任が決まってからだったんだけどね。ちゃんと伝えた」

すると友香が直美の肩を叩く。

「直美馬鹿だね～。うまくいったからこうやって報告してんじゃん」

「あっ！そっか～。でも寂しくなるな～～」

直美の寂しそうな表情に私も大きなため息が出てしまう。

「何言ってんの。長い新婚旅行に行くと思えばいいじゃん。
のあ？」

「何？」

「初めてのアメリカでの暮らしは大変だと思うけど、鈴城君なら絶対に
のあを幸せにしてくれるはずだから。全部委ねちゃいな！」

「ありがとう」

すると直美が店員呼び出しボタンを押す。

「とりあえずさ！今日は飲もう！」

店員が来ると生中３つを注文した。
< 186 / 191 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop