御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中

結婚相手は私です。

なんて言ったら拉致されて質問攻め間違いない。

今はまだ本当の事言える状況じゃない。

詰めが甘かった。こんな事なら鈴城君と綿密に打ち合わせしておけばよかった。

と凄く後悔した。

「でもさ～～鈴城君の奥さんになった人、幸せだろうけどある意味気の毒よね～～」

友香は何か考えるように呟く。

「な・・なんで？」

気の毒という言葉にドキッとして即座に質問をする。

「何で？って・・・結婚したってことはだよ。あれだけのイケメンを独り占めしたって事でしょ。
って事は女子社員全員を敵に回しようなものよ。何かあってもおかしくないというか…
なにもない方が不思議よ」

友香の言うとおりだ。

正直ここまでのことを想定していなかった私は今頃になって事の重大さに

気づき、このまま帰りたくなった。

友香はまさか相手が私だとはまだ知らないから

何で私が困った顔をしているのか不思議そうに見ていた。


仕事が落ち着いた頃、鈴城君から「今から来れる？」とメールが送られてきた。

私は「大丈夫」と返事を送ると待ち合わせ場所である資材置き場へと移動した。

ここは人事部と同じ階にあるし、何より今朝の友香とのやりとりでわかった

女子社員への対応を相談したかったからだ。