御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「ちょっと～～！のあ？！これってどういう事？」

予想していた通り私は直美と友香に拉致された。

なーんて今の言い方はちょっとまずいか・・・・正確に言うと


人事で結婚の報告とそれに伴う手続きなどの説明を受けていたら人事の女性社員が

私と鈴城君の事を社内メールで一斉送信して広めてしまったのだ。

そのため持ち場へ戻るまでひたすら質問と嫉妬交じりの視線を浴びまくり

正直生きた心地がしなかった。

「大丈夫？」

「えっ？」

鈴城君が心配そうに私を見ると腰にそっと手をやった。

・・・・・そっか…会社ではラブラブをアピールだった。

でもこの鋭い視線の中では仲のいいふりは慣れていない

「だ・・大丈夫よ」

なんとか返事をした。すると顔をぐっと近づけ

「何か困ったことがあったらすぐ、僕に連絡してね」

私を見る鈴城君の目は本当に私の事を心配しているようだったけど

間違ってはいけないこれは全てお芝居だってことを・・・・それがわかっているだけに

胸が痛む。

本心じゃなってこんなに胸を痛めるものなのね・・・・

しかし鈴城君演技がうますぎる。

「わかった」

私は笑顔で返し、足早に自分の持ち場である営業推進室へと戻った。
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