御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
どこまで情報が広まっているか不安で様子をうかがいそーっと自分のデスクに戻ろう
そう思っていたらみんなが一斉に私を見た。
そして渡辺室長がただでさえぐりぐりの大きな目をしているのにさらにその目を大きくさせ
「藤原・・・いや鈴城さんご結婚おめでとう。いや~~この会社に長くいるけど
こんなにびっくりしたことはないよ。でもあの鈴城君とね~~」
最後の言い方はまるでモテ男と結婚すると苦労するよとでもいいたげで
とても心からの祝福とは思えなかった。
苦笑いしながら席に着こうとすると今度は私のデスクを取り囲むように
他の社員がどわっと集まった。
『鈴城さんが結婚したっていうのを今朝知ったけどその相手がまさか藤原さんだったなんて』
不服がおありの様な後輩
『人は見かけによらないね~』
何がおっしゃりたいのかよくわかんない男性社員
『ショックー!私鈴城さんのこと好きだったんです。本当ですよ~』
と半泣きのこれまた後輩。
泣きたいのはこっちよ・・・私は彼に嫌われてるんだもん。
『どんな手使ったのか?』
小さいな声だがしっかり聞こえてますよ先輩。
どんな手?そんな手はない。好きなのに大嫌いと言ったのが彼の耳に入っただけです。