御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中

それからどのくらいたっただろう。

－コンコン

ノック音で目が覚めた。

「は･･･はい」

「ちょっといい？」

ドア越しから鈴城君が話しかけてきた。

え？な・・・なに？

私はベッドから飛び起きると、とりあえず髪の毛をササッと整え

小さく深く呼吸をするとドアを開けた。

「何？」

鈴城君はちょっと照れた様子でリビングを指さした。

「ちょっと･･･来てくれる？話が･･･あるんだ」

「･･･うん」

もしかして家で普段使ってる日用品のリストでも作ったとか？

もしそうならもう従うしかないよね・・・・

私は渋々、鈴城の後ろについてリビングに行った。


ところが・・・・

リビングテーブルの上にはリストの書いた紙ではなく

おいしそうなチーズケーキとホール型のイチゴショートが置いてあった。

な・・なに？どうした？予想外な事に

驚いているとキッチンから

コーヒーと紅茶どっちがいい？と聞かれ

「コ･･･コーヒー･･･で･･･」

ちょっとどうなってんの？


さっき一人で妄想していた事に近いことが現実に起こっている。

もしかして夢？思わず自分の頬をつねってみたくなった

「いつまでつったんてんの？座ったら？」

だけど鈴城君の話し方は相変わらずぶっきらぼうで夢ではないとわかった。

「あっ･･･うん」

私は慌ててソファーに腰を下ろした。

鈴城君がマグカップに入れたコーヒーをテーブルに置くと私の隣に座った。

もちろん、二人の間には大きな隙間はあるけど・・・