御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
そんなある日、一度もしゃべった事のない鈴城君の上司の猪瀬部長に声をかけられた。

「君が鈴城君の奥さんだね？」

「は・・はい。主人がいつもお世話になっております」

主人なんて言葉を口にしたのは生まれて初めてで

その言葉の響きにドキドキしちゃったよ。

「いや～～彼は元々仕事ができる男なんだけどね。結婚後は
今まで以上に頑張ってくれて今、彼が取り組んでるプロジェクトの
成功も間近なんだ。それもこれも君と結婚したからなんだろうね」

猪瀬部長はかなりご機嫌だ。鈴城君に期待をしているのが凄くわかる。

「え？私は別に・・・・何もしておりません。彼自身が頑張っているのだと
思います」

何にもしてないのに「やだ～～私のお陰？キャハ」なんて嘘でもいえないわ。

「いやいや・・・そうじゃない。君の存在があるからこそ頑張れるんだと思うよ」

・・・・・いや、単なる女よけの為の結婚ですから・・・・

なんて言えない代わりに褒めてくれた事に対して一礼した。

猪瀬部長は超ご機嫌で、言いたい事を言って（ほぼ褒め言葉）どこかへ行っちゃった。


本当に何もしてないのにこんなに褒められると

何だかみんなを騙していることに罪悪感を感じた。

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