御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
そしてその日の夜、鈴城君が帰ってくるまでリビングで待っていると

21時を少し過ぎたころに玄関の開く音がした。

「おかえりなさい」

普段は鈴城君の帰りを待つなんて事がないからおかえりなさいも数えるほど

しか言ったことがないと思う。

「た・・ただいま・・・」

鈴城君は予想通り露骨に驚いていた。

「ごめん・・・普段待ってないからびっくりしたでしょ~」

「ちょっとびっくりしたけど・・・・・悪くないよね。こういうの・・・」

鈴城君は少し変わったと思う。

私に結婚してほしい言った時は会社での爽やかさがなく

本当はドSですか?って聞きたくなるほど無表情で冷たい男だった。

だけど・・・・一緒に生活をしていくうちに少しずつ私への態度が柔らかくなった。

と言ってもきっとこの生活に慣れただけなのだと私は思う。

私も結婚当初の様に話をするだけで緊張することはかなり少なくなったからだ。

でも、時々今みたいにさりげなく優しい言葉をかけられるとドキッとしてしまう

所は変わりません。


が、今はドキドキしている場合じゃない。

「ごめん。ちょっと相談があるんだけど・・・いいかな」

鈴城君は着替えたら話を聞くよ。と言って着替えに行った。

私は話が長くなって食事が出来なくなるんじゃないかと

今日だけは食事を用意しておいた。

といってもカレーなんだけど・・・・

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