御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
ダイニングテーブルの上におにぎり2個と即席の味噌汁とお椀と

箸が置いてあった。

こんなことは初めてだ。

なんで私の為にこんなことしてくれたんだろう。

いつも通り自分の分だけでいいじゃない。

変に優しくされると勘違いしてしまうのに・・・

「もったいないからた~べよっ」

しばらくおにぎりを見つめていたが自分の気持ちをかき消したくてわざと

声を出した。

本当はもったいないからじゃない。

鈴城君はきっと単なる気まぐれやついでだからと作ったのかも

しれないけど

私はそれを都合よくいい方へ解釈しちゃう。

好きな人だったら尚更

好きでいることをやめられないし諦めきれない。

私は椅子に座ると鈴城君の作ってくれたおにぎりを食べた。

「・・・・・・おいしい」

梅干しとほぐし鮭のおにぎりはとてもおいしかった。

握り具合は男の人らしくしっかり握ってあった。

一口一口味を噛みしめるように食べてたけど

何だか食べれば食べるほど塩がきいているのかしょっぱさが増していた。

「何よ・・・これ塩ききすぎ・・・」

そう思って食べてたんだけど・・・

おにぎりがなくなっても口の中がしょっぱいことに気づいた。

そして・・・テーブルの上にポッっと滴が落ちた。
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