御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
う~~~。

やっぱりこの手の映画はだめだ。

泣ける映画とわかっていてもこの涙を止めることは出来なかった。

もちろん泣いていたのは私だけではない。

すすり泣く声があちらこちらから聞こえてきた。

私なんか途中からポップコーンの容器を持つ手がミニタオルだったし・・・

この映画は、主人公の女性が余命わずかと宣告された新婚女性だった。

それを献身的に看病しながら彼女との残された時間を2人で旅するって映画だ。

もし、自分に置き換えたらって考えたらまたもや涙が止まらなくなった。

エンドロールが終わり、照明が明るくなると

鼻をすすりながら、目と鼻をタオルでぬぐった。

「お前、本当によく泣いてたな」

鈴城君が笑いを堪えながら私を見た。

「だって、これ見て泣かない人なんていな・・・いよね」

文句を言ってやろうと鈴城君を見たら

目が真っ赤になってて、その顔が母性をくすぐるというか

なんだか抱きしめてあげたくなるような気持ちがわいてきちゃった。

もちろんそんなこと実際出来るわけないからごまかすように

視線を泳がせた。

「とりあえず出る?」

鈴城君は私の持っていたポップコーンを持って立ち上がった。

私もつられるように慌てて立ち上がった。

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